2017年09月05日 掲載

なぜ、軟骨は自己修復能力に乏しいのか

出典:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousou/sentan/dai2/siryou1.pdf
出典:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousou/sentan/dai2/siryou1.pdf

軟骨には骨に加わる衝撃を吸収する役割があるので、損傷すると痛みが生じます。そしていったん損傷すると元の状態に戻りにくいという特徴があります。

軟骨には神経組織や血管やリンパ管がないため自己修復能力が乏しい。糸で縫合してくっついているように見えますが、糸はいい条件にするだけで、直すのは自身の体なんです。出血が起こってその中にある成長因子のようなものが直すわけです。軟骨にはそれがないので自己修復ができません。したがって軟骨に欠損があると膝に負担がかかり変形性膝関節症に発展するわけです。現在この症状に侵されているのが日本には1000万人いると言われています。

では欠損したらどう治療するのか。一般的には人工関節というものがあり65歳以上にはこの関節を移植します。ところが耐久年数が10~20年なので活動量の多い若者に移植すると数年しか持ちません。

そこで広島大学では1996年に世界に先駆けて「3次元構造の培養軟骨様組織の移植」を実施しました。簡単に言うと、欠損していない軟骨の組織を少量採取し、バラバラにしてコラーゲンの中で軟骨の細胞を増殖させて組織にしたものを欠損したところに張り付けるというものです。これだけでもかなり画期的な術法なのですが、現在はさらに患者の負担を軽減するため、メスを使わない術法を臨床しています。

軟骨そのものには血管がないために自己修復力がありません。そこで術法として、軟骨の下にある骨を削って出血させ成長因子を引きだして修復する方法もあります。ところが削る部分が小さいため成長因子の量も少量で治癒力が低いという問題があります。

そこで骨髄の間葉系幹細胞をあらかじめ採取し増やしておいて注射すればより治癒力が高まるのではないかと考えられたのですが、動物実験でやると注入量が少なすぎると効果がなく、多量に入れると軟骨がはがれてしまうということがわかり、少量でどうやってピンポイントで欠損部に幹細胞を集中させるかという課題が出てきたわけです。そこで考案したのが採取した幹細胞に鉄粉を食べさせ、それを外から磁石で欠損部に集中させようという術法です。

現在広島大学ではすでに世界に先駆けて5人の臨床研究をスタートし、成果を出しています。

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逆転の発想の軟骨に神経組織や血管やリンパ管を埋め込むのは不可能なのでしょうか。
記事にあるように既に策があるので無意味のようですが。

  • 2017年10月18日 15:32:28